kojikoji

17歳のkojikojiのレビュー・感想・評価

17歳(2013年製作の映画)
3.8
No.1565
2023.12.01視聴 
オゾン−17(2013年作)11/31
 
 17歳、なんとも危うく繊細な季節だろう。
 昔だったら大江健三郎の「セブンティーン」が真っ先の思い出される。
それにしても、娼婦の装いになった主人公のイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、どう見ても大人だ。ところが高校生に戻ると幼い少女(それなりの大人びてはいるものの)に見事に戻ってしまうのだから、この年頃はやはり怖い。

 夏。避暑地に来ていたイザベルは、ある晩、ドイツ人青年フェリックスと海辺で初体験をする。しかし翌日は彼にに素っ気なく、17歳の誕生パーティーにも招かない。一度済ませることだけが目的のような行動だ。この態度は17歳の移ろいやすい独特の感覚が上手く表現されている気もする。
 そしてバカンスは終わり、彼女達はリゾート地を去る。この夏の出来事は、彼女にとってはこれからの売春という仕事をするための準備作業のようにも思えた。彼女は体験した相手とは恋愛関係にもならず、逆のその後は避けるようない態度をとるからだ。

 秋。高校生イザベルはソルボンヌ大学2年生で20歳の「レア」と偽り、SNSで知り合った不特定多数の男たちと売春を始める。
 何故売春なのか、何故そんなことをする必要があるのかわからない。「昼顔」のようにそこにしか快感が見いだせないというなら、一応理屈は通る。もちろん理屈は通っても、わかったことにはならないのだけれど。

 夏から始まるこの物語は、秋、冬、春と四季に合わせて17歳の危うく繊細な年頃を追っていく。
 当然この非合法な仕事はいつかは破綻するのだけれど。その破綻の仕方も当然と言えば当然のようにやってくる。

 結局、この映画は主人公を演じたマリーヌ・ヴァクトの一人舞台のような映画だった。
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