クリーム

愛の嵐のクリームのレビュー・感想・評価

愛の嵐(1973年製作の映画)
3.7
シャーロット·ランプリングの美貌が光る作品です。そして、かなりの問題作。倫理観なんてありません。が、先日『まぼろし』を観て思い出したので鑑賞。内容は、不快で理解に苦しみます。シャーロットの美しさのみを愛でる映画。変態映画だと思います。
ナチスの収容所の所長であったマックス。現在は、ホテルのフロント係。泊り客の中にかつてユダヤ人収容所で権力を使い弄んだ少女がやって来た。13年の歳月が過ぎたにもかかわらず二人は再び倒錯した愛欲の世界にのめり込んで行くのだった。




ネタバレ↓





まず驚くのは元SS隊員達が、戦後12年経っても「第三帝国に仕えたことを誇りに思う」と言い切る所。戦犯者達は反省などしておらず、有力者のコネで恵まれた職に就いていたと言う所。これは、悲しいけど、実際そう言う人達がいたと思わざるを得なくて、人間の恐ろしさを再確認せざるを得ない。
マックスは、将校時代に弄んでいた女に魅力され本気で愛してしまいます。愛情表現も暴力的で、さすがにムシズが走るのだが、被害者であるルチアも歪んだ愛に溺れていく姿は、理解出来なかった。ルチアは指揮者の夫と幸せに暮らす選択があったにも関わらず、過去の屈辱的な関係を忘れられず、それを求めるなんて、常人には理解出来ない。もう主従関係なんてないのに自分ではどうする事も出来ないなんて、ビョーキなんだろうと思う。シャーロットは確かに美しいが、この2人の愛(?)の形…、イヤ、絆は、ヘドが出る。変態の域。戦犯発覚を恐れたマックスの仲間達がルチアを殺そうと狙うのだが、マックスは自分の部屋に匿う。鎖付きだけど…。
ラストは、食料が無くなり餓えて、外に出る2人。仲良く銃殺されてEND。こんな2人の愛が許されて良いわけがない。愛の形は自由だけど、ナチスの非人道的な行為の上に成り立つ愛なんて、許されてはいけない。そもそもマックスに幸せなんか与えてはいけないのだ。胸糞の悪い内容だが、シャーロットの代表作。美しさに圧倒される映画です。悲しみを宿した三白眼がカッコ良く悲しい。
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