雷電五郎

パージの雷電五郎のレビュー・感想・評価

パージ(2013年製作の映画)
3.1
新たな建国の父により、一日12時間のみ殺人すら合法になるパージという法案が可決された超近未来のアメリカの話です。

こんなとんでもねー法案が通ったら自治体はおろか国が滅びるだろ…って勢いのありえなさすぎる設定なんですけど、まずパージが来ることを極自然に受け入れてる市民の姿にゾワッとするものを感じた。最初に実施された時は多分自制や倫理観もあったんだろうけど、繰り返されること麻痺して「そういう日が来るから(参加不参加問わず)準備しよう」という精神状態になるまで定着してるのが逆に怖いです。

パージという法案によって犯罪件数が激減した、という事実が成果のように度々作中で語られますが、それは誰しもがパージを待っているだけでパージ以外の日にリスクを犯す必要がないので根本的な犯罪の抑止にはなっていないのがミソ。
人を傷つけたら更に傷つけられた側が反撃に打って出るし、それが合法ときたら連鎖がエスカレートしていくだけなので、いずれパージの日を増やそうって世論が湧き上がるだろうというゾッとする未来も想像できます。

過激な意見は多くの人を惹きつけあたかもそれが魅力的な解決策のように錯覚するものだけど過激な意見に踊らされて、自分が何を正しいと信じるかを見失ったら、間違いを犯したことにすら気づかなくなるぞって感じの話でした。
ヘイト感情溜め込みやすいタイプの人間には天啓とも言える法案ですけど、えてしてそれが自分の身にも降りかかる災厄などと露とも思わないのが愚かだなと。

取り敢えず、お隣さんは全員逝ってよし。面白かったです
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