設定自体は良。限定的にではあるが犯罪行為が合法化するという世界観はいくらでも話が創作できそうでぜひ増えてほしいところ。世界観を解説する前半部も社会風刺的で素晴らしい。
もうひとついい点をあげるならリース・ウェイクフィールド演じるパージャーのどこにでもいそうでしかし狂気に満ちた雰囲気は絶品。
しかしながら正直なところ肝心の中盤から終盤にかけては全体的に御粗末というか観賞用の物語として不出来。登場人物の行動に納得がいかない。中盤の言動によって終着点にきちんと着地できない。
それともうひとつ。シチュエーションスリラー映画的な作品だと解釈してはいるのだが、最終的にアクション劇が増えているのは不満。アクションシーンがやりたいならアクション映画で。スリラーならゴア表現で勝負してほしい。
この作品から得られるのは赤の他人より自分の家族を大切にしようという常識だろう。