基本的に山戸結希監督が好きなんだろうな。好きになっちゃったんだからしょうがない。物語の構成しかり、それらを描くトーン&マナーの全てが。
「こんなこと言わないよ!」高校生離れした気の利いたセリフの連続が作品全体を文学的に包むのだけれど、その言葉のすべてが思春期の感情の具現化を担っているので、一向に抽象的な会話の域を出ない。
でもそこがいい。だって高校生の頃の頭脳をもう一度見ているようだから。「溺れるナイフ」もそうだったけど、高校生が言いそうなセリフ群だけでこの物語が進んでいたら幾分つまらなくなっていただろうと思いながら計算された一つ一つの絵にいちいち自分の青春を重ねる。
うる覚えだけどベストセリフがこちら。
「巨神兵のいない東京。」
「エリーゼのために?自分のためのなのに。」
「女の子だから」×2
「ヒットソングみたいなお話がしたいんじゃないの?」
女子しかみないミスコンで優勝することより、男に気に入られる価値に目が眩む。女子校の陰湿な部分が直接的でない方法で出ていた。それは現実離れした淑女的制服から始まっているんだけど、実はこれは女子アイドルグループ全体に言えたことでもある。
それにおそらく監督は自覚的であろう。クラウドファンディングで作られた映画の中では相当いいのでは。