小波norisuke

円卓 こっこ、ひと夏のイマジンの小波norisukeのレビュー・感想・評価

4.0
子どもの頃に読む物語の主人公は、孤児であったり、いじわるな継母がいたり、病弱であったりする。だから、こっこが、「ぼうとぴーぷる」や「ふせいみゃく」や「ものもらい」がかっこええと思って憧れる気持ちがわかる。

「ものもらい」を真似しても怒られなかったのに、「ふせいみゃく」を真似したら怒られた。「違いがわからん」と言って悩むこっこに、仲良しのぽっさんが、「相手が嫌やと思ったら、真似したらあかん。嫌やと思うかどうかは想像するしかないんや」と言う。それを聞いていたこっこの祖父の石太が、「想像は『いまじん』というんや」と教える。

この「いまじん」、とても難しい。人間関係の経験値が増えても、なかなか出来ない。(あほな差別やじをとばしといて、傷つく人がいることを知らんかったとか言う政治家もおるしな)。

こっこは、夏休みのいろいろな経験を通して、「いまじん」することを少し体得していく。

こっこが学級で動物を飼おうと提案するために、ぽっさんと一緒に考えた、「これが、(1、2、3)命です。私は皆さんと命の大切さを分かち合いたいのです」という名台詞。実は、友達の気持ちをわかろうとする「いまじん」ともつながっている。

西加奈子さんの原作は、本当に力強く、生き生きとしていて、ワクワクしながら一気に読んだ。その原作を本当に大切にした映画になっていて、とても嬉しい。芦田愛菜ちゃんはもちろん、他の子役もとてもよい。こっこの教師であるジビキ役の丸山くんも、とても素敵だった。

愛おしい映画。

 
小波norisuke

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