冒頭に実際の事件の映像が流れるし、何が起こるのか、わかって観ているつもりでいた。しかし、この22歳の不器用であるが誠実に歩み出そうとしている青年の一日が、愛娘や恋人、母親や周囲の人物との関わりとともに丁寧に描写された後に、いざ事件の場面となって、強い衝撃を受けた。
通報を受けてホームに駆けつけた警官たちは、状況を把握しないまま、黒人の青年たちを捕らえた。青年たちの異議に耳を貸さないばかりか、銃を突きつけて威嚇して黙らそうとした。何もしていないオスカーに手錠をかけようとした。権威を笠に着た傲慢さ、横暴さ。あまりにも醜くて、これぞ「驚きと憤りの気持ちでいっぱい」だ。
あんなに娘を愛していたのに。恋人も母親も深く愛して、愛されていたのに。このまだ22歳の青年の尊い命が、あまりにも軽視されている(怒)!!!
母親役のオクタヴィア・スペンサーがとても魅力的だ。事件当時、まだ3歳だったというタチアナちゃん(映画の女の子はとても3歳には見えなかったけれど)、あなたのおばあさんのような強くて優しい女性になってください。ダディと一緒に歯磨きするシーンがとてもキュートだった。