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ノア 約束の舟のbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ノア 約束の舟(2014年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

ずーっとイライラした。どうやら主人公の身勝手さに怒る人が多いようだが、自分は完全に逆。むしろ家族に対してイライラが止まらなかった。これは少数派だろうな。

「神のお告げのままに、家族以外の人間を救わない。家族もそのうち死んで、人間は滅びる。」というのが主人公の生き方。勿論めちゃくちゃであり、非難されるべきものではある。しかし主人公は神の子アダムの子孫としての矜持があり、神のお告げを守り切ることを天命と考えて生きている人物なのだ。もうこれが彼の生き方なのだ。そして現に彼は神の力を行使し何年もかけて方舟を完成させるのだから、有言実行で素晴らしいとすら言える。これは自分のためではなく、神のため、この世界をより良いものに戻すためなのだ。

そんな主人公に対し、家族は自分たちのことしか考えていない。「人間らしい」と言えばそうなのかもしれないが、それならあえて悪者に描かれているカインの子孫の群衆だってよっぽど人間らしく、そこには何の差もない。主人公家族だけが美化されて「美しい愛の物語」的に描かれていることに強烈な嫌悪感があった。長男と養女はろくに働きもせずいちゃつくことしか考えていない肉欲にまみれたクズだし、次男はもう本当に女とヤることだけで頭がパンパンにいっぱいの肉欲にまみれたクズ。家族はずっと主人公を責め続けるのだが、そんなに言うなら自分たちで何が考えて行動したらどうだ?群衆たちを救おうと動いてみたのか?安全圏で自分はまんまと助かった上で文句だけをダラダラ言い続ける。嫌いだわ。殺されるのが自分の子になった途端大騒ぎだが、舟を作っている段階では他人をを救う気なんか全くなかったどころかいちゃつくことしか頭になかったくせに。

最終的に主人公は養女が産んだ赤子を殺すことができず、神のお告げを全うできない。そんな彼に養女がかける言葉は「あなたは愛を知ったのよ」。はぁ?
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