倦怠期で離婚が近い夫婦が妻の実家の法事に出掛けて、帰りの山道で車がエンストを起こす。
今日中に東京に帰りたい夫と、それに何となく付き合う妻。
災難にも人通りが少ない山道だった為にショートカットして山奥を行き、車の通りそうな道へ出ようという妻の提案に渋々従う夫。
周囲に誰もいない山奥で、気兼ねなく罵り合いの末に、徐々に二人の関係に変化が訪れる。
完全ワンシーン・ワンカットの112分間撮り続けた作品 。
お腹を抱えて笑うという面白さではなく、「なんか面白かった」という感想。
倦怠期をむかえた夫婦が山で迷子になってしまった話なんだけど、何が凄いって山奥での撮影、それもワンカットで撮り続けられているってとこが面白いなぁって。
ずーっと撮り続けるということは失敗が許されないわけで、特に山の中の撮影なのに一瞬のブレもなく撮影し続けるのは凄いなと思いながら見ていた。
舞台は観客が座っているから役者は大移動ができないが、映画やドラマはカメラマンが動くからそれができる。
すごい思いつきだよね。
観ながら感心しちゃった。
山道を登ったり下ったりしながら、しゃべり続け、とり続け、中には虫がカメラワークに入ってくるというハプニングがありつつ話はすすみます。
登場人物は3人だけ。
基本は2人のやりとりが続くのだが、細かいネタが満載で結構笑える。
しかしちょっと長いので退屈する部分もあった。
二人のやり取りにはまる人は楽しめるけど、私は途中で少し飽きてしまいました。
でも後半ぐだるけど、よく敢行しましたなこんな無謀なこと。
普通なら撮り易い状況を作ろうとするのに、山道に迷い込み下山する設定にするとは、自分を追い込む三谷幸喜らしいと言えばらしい。
山道の「ショートカット」と、夫婦すれ違う以前に、お互いについて知らないことがたくさんあったと、結婚10年にして新たに発見したという「遠回り」をかけてるんだよね、このタイトル?
夫婦にとって面と向かって話す時間を持つことがどれだけ大切なのかが、2時間長回しの中での心境の変化によってよりリアルに伝わってきた。
なかなか気が利いていると思います。