あゆみ

インサイド・ヘッドのあゆみのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
4.7
とても論理的で、とても優しい映画だった。主人公の女の子と同じ、11歳くらいの子どもに向けて作られた映画だけど、大人でも安易に答えが出せない、11歳には絶対にすんなり飲み込めない塊みたいなのがたくさんあって、それがとてもよかった。大切な事を無理に平坦に説明する訳じゃなく、話をわかりやすくするために省くでもなく、わからなさと一緒に大きくなっていけばいい、っていう器の大きさを感じた。成長して最初見た時とは違う解釈が出来るようになっていく子どものこれからを想定して、『なんだこれ?』ていう部分を残したまま差し出すのは、作る側からの祝福だと思う。

ライリーが最後にミネソタに帰りたい、って泣くところで、お父さんも同じようにミネソタが恋しいよって言ってたので、まさか元のお家に帰るのかと思ったけど、帰らないところが本当によかった。この映画を見てる同じような子どものほとんどは、嫌な事があってもそこで頑張るしかなくて、ライリーもちゃんとサンフランシスコで頑張って自分の中の島を大きくしていくラストなのが本当に勇気づけられた。ビンボンが消えるところはボロボロ泣けたけど、空想の友達はいつかは役目を終えていなくなってしまう時がくるけれど、自分の中の大切な他の部分を守って消えていくっていう話にしてくれたから、空想の友達をかつて持っていた人たちも、これから失っていく子どもたちも、自分の中の友達に「忘れてしまってごめん」じゃなくて「ありがとう」って思えるのがよかった。

みんなえらく褒めるな〜と思ってたけど、みんなが褒めるだけある!と思う映画だった。
あゆみ

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