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007 スペクターのToritamasterのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.7
今回は組織の黒幕との勝負といったところでしょうか。アクションは迫力があり、手に汗握り、つよつよボンドくんを今作も楽しめました。
ボンドくんはレア・セドゥにメロメロでしたね。デレデレしてる間に敵の刺客に不意打ちされちゃうところも人間らしくていいです。(プロの諜報員としては全くダメですが)

これでダニエル・クレイグ007を4作見終えましたが、シリーズを通して悪役に驚きがないのが残念でした。
例えば今回の悪役は昔ボンドくんを育てたおじさんの息子(死んだはず)で、なにやら因縁がある感じでしたが、今までにボンドくんの過去描写があったわけでもなく、「実は俺あの時のあいつなんだぜ、死は偽装したんだ」と急に言われても、驚きも感動もありません。内輪揉めを第三者の立場から見て居る気分です。
前作あたりでボンドくん少年時代のシーンを入れていたり、何か物語に関わるような布石でも置かれていればまだ良かったのですが、前作の最後に少し触れられただけで何か心をうごされるような驚きには全くなりませんでした。

◯良い映画とは?(個人的な意見)
今作は脚本によってキャラクターが動かされてしまっているなと感じるシーンがあったのも残念でした。ボンド一行が最後の決戦に向かうシーンで突然レア・セドゥが離脱します。理由はこういう生き方ができないという謎展開。さっきまでボスを倒すという今回と全く同じ理由でボスの拠点まで乗り込んでいた人が急な心変わり。案の定その後人質にされます。
このシーンではレア・セドゥを人質にしたいという脚本の都合から強引にキャラクターを行動させらていると感じました。

良い映画というのは、その世界の中でキャラクターが自分で考え、自分の思うように行動しています。
もちろんメタ的に見れば脚本からキャラクターが生まれ、映画が作られますが、観客がこの順番に受け取るように作ってはいけません。(当然例外あり、メタ視点を意識した作品など)
どんな映画でも、その世界で起きていることはキャラクターにとって事実であり、主人公視点での実話を切り取っているだけです。
キャラクターたちを自然に動かしているだけでストーリーができていく映画が良い映画だと、僕は思います。

※個人的な意見です。自分が完全に正しいとも思っていないので、このレビューを見て違う考え方もあるよというのがあれば勉強になるので是非気軽に教えてください。
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