ユースケ

007 スペクターのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

007 スペクター(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド4作目にして遂にオープニングで炸裂するガンバレル・シークエンス。
綿密に計画された死者の日のワンカット風の長回し(【007/サンダーボール作戦】へのオマージュ)、ドリフのコントのように倒壊するビルと転落先に仕込んだように設置されたソファー(【007は二度死ぬ】へのオマージュ)、死者の日に集う群衆の頭上でヘリコプターが暴れ回るど派手なアクションなど、ベクトルの違うシークエンスを連続して描くアバンタイトル。
そして、【カジノ・ロワイヤル 】【慰めの報酬】【スカイフォール】を総括し、死とセックスをイメージさせる【007】シリーズ伝統のデザインにタコのイメージを追加しちゃった何とも言えないオープニングタイトル。

原点回帰を宣言し、二度目のリブートを成功させた【スカイフォール】の続編である【007】シリーズ第24弾は、続投した監督のサム・メンデスによる映像と音楽のシンクロはそのままに、権利の問題で1971年の【ダイヤモンドは永遠に】を最後に【007】シリーズから姿を消していたジェームズ・ボンドの宿敵である国際犯罪組織スペクターを復活させ、どんな時にでもユーモアを忘れなかったあの頃の【007】シリーズを感じさせる温故知新な一本。

みどころは、出会って即合体のヤリチンぷり、怪力無双の殺し屋MR.ヒンクス(デビッド・バウティスタ)(【007/ロシアより愛をこめて】へのオマージュ)、秘密兵器を搭載したアストンマーチン、ドリル拷問、時計爆弾、「ボンド…ジェームズ・ボンド」や「ウォッカ・マティーニ、ステアではなくシェイクで…」の決めゼリフなど、【007】シリーズのお約束を押さえまくった演出の数々。

更に、キャラクターが掘り下げられ、キャラクターが立ちまくったM(レイフ・ファインズ)、マネーペニー(ナオミ・ハリス)、Q(ベン・ウィショー)、タナー(ロリー・キニア)など、MI-6メンバーとジェームズ・ボンドの絶妙なチームワークやボンドガールを演じたジト目のフランス娘(しかも巨乳でパイパン)レア・セドゥもたまりません。

しかし、国際犯罪組織スペクターの首領であるブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)が顔を出してからの尻すぼみ展開にはガッカリ。義弟ジェームズ・ボンドへのひがみが行動原理って…【007/カジノ・ロワイヤル】(1967年版)と【ゴールデンアイ】へのオマージュだとしても、前作が母親の取り合いで、本作が父親の取り合いでは話が小さすぎますよ。
ついでに、散々お約束を押さえまくっているのに悲劇のボンドガールは再現しないってどういうことですか?確かにボンドガールを演じたイタリアの宝石モニカ・ベルッチの喪服姿はたまりませんでしたが、ジェームズ・ボンドとセックスしたボンドガールは後腐れがないように死んでもらわないと困りますよ。

とりあえず、アストンマーチンDB10でRay Quinnの【New York, New York】(ラブコメ映画【ステイ・フレンズ】のサントラに収録)を流そうとするイカれたセンスの持ち主009の存在が気になって仕方ないです。