Donatello

マッドマックス 怒りのデス・ロードのDonatelloのレビュー・感想・評価

4.7
「V8を崇めよ!」

いやしかし凄い映画ですわね。

ワームホールを行って帰ってくるだけの映画が素晴らしい作品になるのはなんとなくわかりますが、荒野を行って帰ってくるだけでこんなに凄い物語になるなんて…。

開始直後からの映像は、たぶん大半の人がFuryRoadというサブタイトルが「怒りのデスロード」になった憤りも忘れ、相変わらず無口なマックス・ロカタンスキーに吹き替えが誰かなんてもう殆ど誰も気にしてなかったんじゃないか。
自分字幕で観ましたけど。

少しばかり微笑みながら親指立てたトム・ハーディ君なんかアレですよ、溶鉱炉に沈んでいくヤツぐらい「映画でイカしたサムズアップ10選」にもう満場一致で推薦されるんじゃないかの絵面。

途中マッド・マックスって言うより、マッド・フュリオサっていう映画じゃないかという気もしてましたが。

インテークにニトロを口で吹きかけるなんていう無茶苦茶な描写。
人を輸血袋扱いしながら車のフロントに括り付ける頭の悪さ。
とりあえずV8を崇めちゃう意味不明さ。
状況説明なんて殆どないのに、なんだかよくわからないけど分かってしまうその斬新さには正直口あんぐりですよ。

ただね、ちょっと気に入らないことありまして。

わたくし幼少の頃、完全に子供向けでない映画で『スター・ウォーズ』の次に観たのが、現在日本で一番暑い街でその名を馳せる岐阜県多治見市にあった、今は無き「多治見大映」という映画館でその時上映していた『007 ムーンレイカー』と二本立ての『マッドマックス』な訳です。
単に親父が観たいがために口実で連れてかれただけなんですけども。
「なんであの人マネキンぺろぺろしてるの?」って上映中にうっかり親父に話しかけて凄い怒られたんですけどもね。
でも子供ながらに分かったんですよ。
V8インターセプターの格好良さが。
大人になったらアレか、ボンドが乗ってたロータス・エスプリに乗ってやる!くらい思ってたわけですよ。

だのになんですかアレ。
開始五分でボロボロですやん。
仮にもあの当時オーストラリア最速だったV8インターセプターが追いつかれるというのがちょっと納得いかなかったわけですよ。

あとあのフラッシュバック。
まず思い出すのは嫁さんと子供の筈だと普通思うんですが。

ジョージ・ミラーさんのマッド・マックスですからして、ミラーさんが「これがマッド・マックスだ!」言うならマッド・マックスなんですけど。

なんか無駄に旧作知ってると、こんなに邪魔でしかない映画も久しぶりでしたわね。

いやでも最高に素敵な頭の悪い映画でしたんで、特に大した文句じゃないんですけども、我儘を云わせてもらえるならV8インターセプターを完全復させて欲しいです。
僕もV8崇めちゃうんで。
Donatello

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