わたがし

パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊のわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
in IMAX
 前作がこの世の終わりかよってぐらい面白くなくて今回もそんなには期待せずに観に行ったんだけど、前作のお高くまとまった感じは全然なくて、初期三部作の野蛮な感じが大復活していて序盤からめちゃめちゃテンションあがった。
 しかも「今このハリウッド映画の流行の波の中でパイレーツオブカリビアンシリーズ最新作は何をすべきなのか?」みたいな問いに対するアンサーとして「とりあえずワイスピMEGA MAX越えてやるぜ!!」みたいなバカっぽさもすごい好きだし、そういうところを観せつつもしっかり「海賊ジャンル映画は俺たちが現存させていかないと」という熱い責任感みたいなものも感じられてエモすぎる。
 何か特別ありえないぐらい衝撃的なアクション場面があるわけでもないのに、場面ひとつひとつ「今めっちゃすごいこと起こってない?!?!」みたいな変な煽りが凄くて、その威圧感だけで何か物凄いものを観させられているのではないかという錯覚に陥る。この感覚、実写版「美女と野獣」でもあった。その煽りのひとつとしてメインテーマの焦らしがあって、やたらめったらデンデン流さずに「ここぞ!!!」という場面でバーン!!!と誇らしげに流す。中学生の時、大好きだったあのメロディが今こうしてまた映画館で聴ける快感に酔いしれて、こういう瞬間にやっぱり「映画好きで良かったな」と思う。
 まだ自分が作る側の道に進むかどうかもわからなかった頃、映画をひとつの「世界」として信じ切って観ていたあの頃、スクリーンの向こう側で起きていることは全て現実のように思えた。その名残で今こうして新作を劇場で観ると「あれ??存在してるじゃん!!ジャック・スパロウ現存してるじゃん!!」と思わずにはいられなくなる。アリス時間の旅でも思ったけど、今回のこのエモさは飛び切りだった(映画としてはアリスのほうが好きだけど)
 初期三部作を観ている人だけがわかるラストの強引なご褒美がまた涙腺くすぐられるし(ていうかあの場面の色んな意味での気持ち悪さが最高)、何があっても決して動じない、ひたすらにアル中、運が悪くて人付き合いが苦手で恥ずかしがり屋なジャック・スパロウはやっぱりジョニー・デップその人なんだなとあらためてひしひしと思った。
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