わたがし

裏窓のわたがしのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
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 初めて観た。箱庭セットでみんなが窓を開け閉めして、灯りをつけたり消したり、書き割りレイヤーで動き回って、という"映画作法ファンタジー"みたいなトーンにちょっと笑った。頑張って最後まで観た。
 部屋の中で喋るキャラクターが動いて、会話のニュアンスに重層的に被さるように立ち位置や高低差の意味が加わる。俳優が視線を逸らしただけでサスペンスが盛り上がり、ストーリーが動く。『ロープ』のときも思ったけどヒッチコック映画の、この「誰が演じても成立しそうな感じ」の極致みたいなのが観ててとても怖くなる。
 俳優自身が何を考えていて、どういう心境になっているかということは完成した作品上はどうでもよく、結果的にどう映るかが全てだみたいなことは自分もよく考えるけど、その完全具現化映像がヒッチコック映画なんだなと思った。28歳にもなって。
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