オレオレ

ハーフネルソンのオレオレのレビュー・感想・評価

ハーフネルソン(2006年製作の映画)
3.0
ネルソンという半人前教師が、生徒との触れ合いを通して一人前の教師になっていくハートウォーミングコメディかと思っていました。すんません。
ライアン・ゴスリングの名前、「ネルソン」でさえない。ダン・ダン、というカタカナで書くとふざけた名前ですらある。ほんとすんません。

ダンはヤク中の中学教師。ヤク中なんだが、歴史を子供たちに教えるというのを生きがいにしているので、朝起きて、学校に行くことができている。子供たちも、指導要領に従わず、型にはまらない教え方をするダン先生を好いている。ダンは女子バスケチームのコーチもしているが、ついつい熱が入ってしまってレフリーに乱暴にあたったりするので、校長からは睨まれている。

学校のトイレでハイになっているのを女子生徒、ドレイに見られてしまうが、彼女は大ごとにせず、「また明日」とあっさり帰っていく。
ダンが彼女に言う、「自分のある一面を知ったからと言って、俺がそのまんまだと思って欲しくない」というのを理解しているドレイ。彼女の家庭も複雑で、家族を支えるために働きづめの母親、ディーラーの友達をある程度かばう形で刑務所にはいっている兄、兄がかばったディーラー、自分のことは顧みない元父親、そういう人々に囲まれてチャリが平気で盗まれるプロジェクト(低所得者用アパート)に住んでいる。

この二人がメインで話が進むが、進展というほどの進展もなく、友情のような疑似親子のような、不思議な関係が描かれており、正直、地味過ぎて「なんで見た、自分」と思い始める・・・。
世の中とは言わないが、自分の周囲から救っていきたいダン、ただ彼本人が機能不全で救いが必要だというシチュエーションが歯がゆい。

ちなみに「ハーフ・ネルソン」というのはレスリングのホールドの技だそうで、「ハーフ」と「フル」ネルソンがあるらしい。
環境やドラッグや周囲の人間にすでに半分ホールドされているダンだが、それでも負けるまいともがいている、ということだろうか。
繰り返しますが、コメディではないので「ラブアゲイン」みたいなゴスリングをお求めの方(私だ!)はスルーしてください。