OASIS

チェインドのOASISのレビュー・感想・評価

チェインド(2012年製作の映画)
3.0
ある日母と共に連続監禁殺人犯に誘拐された少年が、親代わりとなった犯人の手によって育てられるという話。
テヴィッド・リンチの娘ジェニファー・リンチの監督最新作。

犯人役のヴィンセント・ドノフリオのたるんだ腹とでっぷりとした体格が強烈。
彼はただ目的も無しに行為に及んでいる訳ではなく、何故彼が監禁殺人を行う様になったかという過程を過去のフラッシュバックで見せられる。
それと同時に、彼に人間の身体の構造や女性経験を教えこまれて成長していく少年が監禁部屋で過ごす9年間の歳月も描く。
この少年が成長した姿を演じたエイモン・ファーレンも良かった。
少年のまま監禁され、女性との関わりが一切無いまま成長。そして目の前に現れた美女に心惹かれいくという、初心なまま外見だけが変わってしまった様子が見事に表現されていた。

ラストに意外な捻りが加えられていてミステリーとしても手堅く面白いのだけど、サスペンス的なハラハラ感は薄い。
犯人と青年の心情の描き方の割合がやや犯人寄りになっていたので、青年側に感情移入しにくかったのもあった。
しかし、タイトルでもある「チェインド」をただ鎖による拘束という意味では無くて違った捉え方が出来る様にした点や、物音だけで想像させるエンドロールも非常に凝っていて良かったと思う。
同じくジェニファー・リンチ監督の「サベイランス」も面白かったし、是非こういった題材で続けていって欲しいと願う。
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