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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニストのgintaruのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

まだ途中

ヴァイオリンは、一流のプロのヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットが弾いているだけあって、さすがの演奏だった。逆に彼が役者としてもパガニーニ役を見事にこなしているのはすごいと思った。普通、代役が演奏すると、どうしても遠くからとか、逆に顔を出さない手だけのアップとかのシーンになりがちだが、本作では自然な上半身のアップとかの演奏シーンが多くて、しかもギャレットの演奏の超絶技巧ぶりがよくわかるシーンが多くてそこは堪能できた。
シャーロット役のアンドレア・デックもロンドン音楽演劇アカデミー出身だけあって歌唱もしっかりしていたし、清楚な雰囲気を出しながらも目力のある演技が印象的でよかった。

しかし映画としては、まず、ストーリーがわかりにくかった。
パガニーニがオペラの幕間で演奏するなど、まだくすぶっていた頃にマネージャーとなるウルバーニが怪しげな雰囲気で登場し、お前を有名にしてやると語りかけるのはまるでファウストとメフィストフェレスのやり取りのようであり、そこからのパガニーニの栄光と挫折を比喩的に表現していくためのパガニーニの見る幻影のようなものなのかとも思ったが、そうでもなく、と言って実際にウルバーニが手練手管を使ってパガニーニをスターダムにのし上げていく様子が描写されるわけでもなく、次の場面では既にヨーロッパでは有名になっていて、ただ、まだロンドンではコンサートをしていないところに指揮者のワトソンがロンドンにパガニーニを招聘して一儲けしようとするところから話が本題に入っていく。
しかし、この辺が唐突過ぎて理解できた人は少ないのではないだろうか。場所や年月のキャプションもなく、説明のナレーションもない。もちろん、そういうものなしでうまく話を進めていけるのがいい映画なのだろうが、説明不足で見る者を置いてきぼりにしてしまっては元も子もない。
パガニーニがワトソンからの招聘の手紙を受け取る場面ではウィーンに住んでいて男の子が一人いるのだが、そこも詳しい説明はないから、ある程度事前にパガニーニについて知っている人でないと戸惑うのではないだろうか。確かに映画でもウィーンの風景が一瞬映るのだが、パリのエッフェル塔やロンドンのビッグベンくらいわかりやすければ別だろうが、遠景にシュテファン寺院が見えているだけでウィーンだとパッとわかる人なんて少ないだろう。男の子がいることや母親がいないことの説明もないし、そうした状況下のパガニーニの心境描写もあまりないので、どうストーリーを追いかけていけばいいのか戸惑ってしまう。
本作は、パガニーニがロンドンに行って大成功することと、その折ワトソンの娘シャーロットと出会い、互いに惹かれ合うまでになるところが話の中心になるのだろうが、どうもその過程がドタバタし過ぎていて本筋が見えづらかった。
居酒屋でパガニーニがヴァイオリンを弾くことになり、パガニーニのことを知らなかった人たちから大喝采を浴びると言うのはまだいいとして、もともと既に有名だったのだから、コンサートが大成功するのはある意味必然だからクライマックスとするにはちょっと説得力に欠ける。



もっと幻想的なストーリーかと思いきや後半現実的でダレる。
映像がぺったりしてる感じのところが散見された。
アップが多くロングで撮れてないのが多いのはセットや予算の都合か
19世紀前半の雰囲気は出ていた
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