ユースケ

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アラン・ムーアの【ウォッチメン】と並びグラフィックノベルの最高峰と称されるフランク・ミラーの【バットマン: ダークナイト・リターンズ】を映像化したくてたまらないアメコミ野郎ザック・スナイダーが、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に追い付こうと功を焦るワーナー・ブラザースを丸め込んで作り出したDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)第2弾である本作は、【バットマン: ダークナイト・リターンズ】をベースに、新キャラクターをガンガンぶち込みまくったイチゲンさんはお断りな一本な上に、アメコミをかじった事がある者ならば、タイトルを見れば内容はわかるし、ラスボスを知れば結末はわかるネタバレ丸出しな一本。どちらにしろ唐突な白昼夢から唐突なフラッシュの登場の流れは唐突すぎて誰が見ても違和感しかないと思います。

確かに、前作【マン・オブ・スティール】のメトロポリスの大破壊をバットマン視点=人間視点から描くバットマンとスーパーマンが対立するきっかけ作りや【バットマン: ダークナイト・リターンズ】を思わせるゴリゴリに武装したバットマンとスーパーマンの対決は素晴らしかったのですが、観客はレックス・ルーサーの悪巧みだとわかっているのに、レックス・ルーサーの思惑通りにスーパーマンを危険視し続けるバットマンをはじめ、キッチンの隣にあるセキュリティがガバガバなサーバー・ルームにハッキング装置を置きっぱなしにしてワンダーウーマンにデータを横取りされるバットマンと見られたくない写真が入っているのにデータのロックを解除できないからハッキング装置をバットマンに返却するワンダーウーマン、発信機を取り付けたら追う必要がないし、そもそも目的地がわかっているのだったら発信機を取り付ける必要すらないのに、バットモービルの活躍を披露するためにレックス・ルーサーが密輸したクリプトナイトに発信機を取り付けて追い回し、港を廃墟に変えながらもスーパーマンの破壊行為を否定するバットマン、核ミサイルで絶賛被爆中のスーパーマンとイチャつくロイス・レーン、クリプトナイトの槍を捨てたり拾ったりするグダグダな展開など、登場人物がバカすぎて全く感情移入できません。キャスティングは完璧なので余計に残念です。

まぁ、なんだかんだ文句ばかり言ってきましたが、「誰が見張りを見張るのか?」とか、「神と人間の戦い」とか、大仰なテーマをチラつかせておいて、マザコン同士がタイマン張って母親の名前をきっかけにマブダチになり、Hans Zimmer & Junkie XLの師弟コンビによる【Is She with You? (Wonder Woman Theme)】と共にワンダーウーマンが参戦し、バットマンとスーパーマンとワンダーウーマンが破壊の限りを尽くすド派手なラストバトルになだれ込むボンクラ展開は絶対にアガるし、【プレデター】のアーノルド・シュワルツェネッガーの名言「血が出るなら、殺せるはずだ!」を思わせる地球人のバットマンが宇宙人のスーパーマンに言い放つ「教えてくれ、血は赤いのか?」のセリフはたまりませんでした。ちょいブスの星TAOちゃんの出演も要チェックです。

とにかく、10年間ヒーロー活動を引退していたバットマンが、老体に鞭を打ちながらヒーロー活動を再開し、バットマンとしての仕事をやり遂げるフランク・ミラーの【バットマン: ダークナイト・リターンズ】を読んで下さい。クリストファー・ノーランの【ダークナイトトリロジー】より確実に面白いです。