3104

卍 まんじの3104のレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
3.8
少人数で繰り広げられるドロドロの愛憎劇。しかし湿っぽく立ち止まらずに力強く描く。そこはおなじみ増村節か。

今作の魅力はなんといっても2人の女優。
腹のうちがわからぬ若尾“ヴァンプ”文子は、その容姿と衣装の彩りが美しい。

そして映画自体を揺り動かすのは~劇中ではさんざん振り回されていた~岸田今日子。
彼女の演技はギリギリ、いや時としてギリギリの線を越えていたように思う(実際、劇場でも何度か笑いが起きていた)。
しかしそれくらいやってくれた方がいい。結果としてその「踏み越え」がこの映画を、観た人の心に残る作品たらしめているのではなかろうか。

後半、船越英二までが「n角関係」に入ってくるとそれまでの独特のテンション・質感が変容してしまうあたりは少し残念。
いやご愛嬌というべきか。
3104

3104