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アンドロメダ・ストーリーズのmitakosamaのレビュー・感想・評価

3.4
原作が光瀬龍。作画が竹宮惠子のSF漫画で、24時間テレビでのアニメ化作品。
嫁さんが24年組の大ファンなこともあり、家に原作本があるので比較しながら。

まず第一印象としては、80年代初頭のアニメーションでは竹宮惠子の毒っけあるテイストは表現できないなぁ。いや、たぶん今でもあの絵柄のアニメ化は難しい気がする。
それくらい竹宮惠子の持つ漫画力は突出してる。絵の艶やかさに加え、秀逸な構成から来るテンポの良さ、メッセージ性、更にSFマインドも濃いときてる。
単純に絵柄が、80年代のアニメでは表現しきれていないのが惜しい。

イルは竹宮キャラを上手く表現してるが和田慎二っぽくも見える。他のキャラはあまり竹宮テイストは出てないなぁ。やっぱり難しいんだろうなぁ。
メカやクリーチャーは漫画だと気にならないがデザインに統一感が無い気はするな。またレイジメーターなどに松本零士の影響を依然として強く感じる。

脚本は上手く仕上げてるとは思う。話が駆け足な印象はあるが、原作のエピソードをほとんど改変すること無く纏めているのは何気に凄い。

一方でわかりやすくニュアンスを改変している所もある。
例えば後半の、ジムサの母が夫イタカと弟ミランに機械に隷属することを進めるシーン。人間の方が幻の様なものと説得するのはアニメオリジナルだが、このセリフは凄い視聴者に親切だと思う。
また、母が機械化された都に行くのは、原作だと夫に連れ去られるのだが、アニメでは(操られているとは言え)自分の意志でヘリコプターに乗って行く。

クフ老師のラストに明かされる正体もアニメオリジナル。ここは色んな解釈が出来るね。

そもそも竹宮恵子のキャラが持つ強い生命感には、もっとセクシャルな臭いがあるんだよね。アニメにはどうしてもそこが欠ける。
24時間テレビという媒体が求めた健全さも一因だと思うが。

ラスト、ジムサとアフルが母星を離れ地球に辿り着くが、これも本来ならアダムとイブの様に子孫を残すという結果な筈。双子ではあっても人類の始祖として子を産み育てるのが本来の終わり方なんだよね。(決して地球を見守る神になった訳では無い。)

まだまだ時代は竹宮惠子・萩尾望都のセンスに追いついてはいない。
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