ユースケ

ゴーン・ガールのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

妊娠中の妻が失踪し、遺体で発見され、夫はマスコミの過剰な報道合戦によって悲劇のヒーローから非情な容疑者へと仕立て上げられていった【レイシー・ピーターソン失踪事件】をベースに、理想の夫婦の裏側を描いたサスペンス…

というのは全て前振り。日記を通して語られてきた結婚生活は巧妙に仕組まれたでっち上げ(記載する内容に合わせて使用するペンの種類を変えるこだわりに注目)という突然のネタばらしからはじまる、ハンサムだけどボンクラな夫と邪魔者は手段を選ばず葬り去るサイコパスな妻による夫婦の支配権争いを描いたスクリューボール・コメディ。

記者会見で笑顔を見せたり、捜索本部で女と写メを撮ったり、教え子の女子大生と所構わずやりまくったりのベン・アフレック演じる夫ニックも、DQN女の飲み物にこっそりツバを入れたり、テンションが上がるとジャンプしたり(2回目のジャンプで大金を持っている事がバレてDQNカップルにカツアゲされます)、記者会見に登場した夫の浮気相手の女子大生に暴言を吐きまくったりのロザムンド・パイク演じる妻エイミーも、どこか間抜けでどこか憎めないバランスが秀逸。

更に、両親からは理想の娘の幻想を押し付けられ、元カレからは理想の彼女の幻想を押し付けられ、理想の女=クール・ガールを演じ続けてきた女が、理想の夫を演じる事をサボった夫へ復讐する、アルレッド・ヒッチコック監督の【めまい】に対する答えになっていると理解できれば、インタビューで完璧な夫を演じるニックに釘付けになるエイミーやオープニングと全く同じ構図と台詞で描かれるエンディングの問いかけがたまらなくなると思います。
互いに憎しみ合い、互いに支配し合い、互いに傷つけ合う、それが結婚だと語るロザムンド・パイクにはシビれましたが、結婚が本当に怖くなりました。

アルレッド・ヒッチコック監督の【断崖】とレオ・マッケリー監督の【新婚道中記】を【レイシー・ピーターソン失踪事件】と繋げた原作者のギリアン・フリンは天才ですが、【断崖】【新婚道中記】に出演したケイリー・グラントと【レイシー・ピーターソン失踪事件】の容疑者スコット・ピーターソンとベニファー騒動でマスコミにボコられたベン・アフレックをケツアゴで繋ぐ荒技を見せた監督のデビッド・フィンチャーもまた天才です。

ちなみに、ベン・アフレックの巨根も要チェックです。