小波norisuke

プロミスト・ランドの小波norisukeのレビュー・感想・評価

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)
4.0
大企業の悪を描いて資本主義文明を批判しているという点では、繰り返し語られてきたテーマであるが、何でも金で解決出来ると思っている輩は未だ後を絶たず、今なお極めて切実な問題を扱っている。

プロミスト・ランド。約束の地、というタイトルから、旧約聖書に出てくる「契約の地」を連想してしまうのは私だけではないと思う。乳と蜜の流れる、神が約束してくださった土地を目指して、旧約聖書の民たちは、荒野を彷徨った。約束の地に対する希望は、そのままアメリカという国の建国、そして開拓の精神へとつながっている。(それがアメリカの様々な問題を生んでいる側面も否定できない。)

約束の地を目指しての彷徨は、さらに、貧しい農家で生まれ育ったという出自故に、金の威力に頼って「狂気の沙汰」の人生に絡めとられていた主人公が、自らの生き方を模索する旅へと重なっている。

主人公が、土地の買収のために訪れたスモール・タウンのバーで、地域の住民たちに煽られて、挑発的な言葉を吐くシーンに、彼の葛藤が現れていて胸が詰まる。

シェールガス開発という今日的なテーマを、もっと掘り下げて欲しかったという思いは残る。環境活動家の描写がステレオタイプでありすぎたり、ストーリーが直球過ぎるとも思うのだが、そのわかりやすさも含めて好ましく思えた。

レモネードは25セント。看板に偽りなし。

(リベラーチェに翻弄されているマット・デイモンも強烈でよかったが、こういう彼も素敵だ)。
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