Inagaquilala

フランシス・ハのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
4.1
「フランシス・ハ」(原題Frances Ha)という奇妙なタイトルについては、最後の場面でわかる。今年のアカデミー賞で作品賞他6部門にノミネートされた作品「レディ・バード」で、初の単独監督に挑戦したグレタ・カーウィグが主演と脚本を担当した2012年の作品ということで、再観賞。監督はウェス・アンダーソンの作品にも関わっているノア・ハームバック。主演のグレタ・カーウィグが脚本にも参加しているため、彼女の自伝的側面もある。作品内で、主人公がニューヨークから故郷のサクラメントに一旦帰るが、そこはグレタ・カーウィグの出身地でもあり、「レディ・バード」はまさにその街が舞台となっている。

いわゆる「マンブルコア」と呼ばれる、日常をそのまま描写する作品の代表的作品と言われているが、のちのグレタの監督作品「レディ・バード」に通ずるものもある。ダンサーを目指す主人公が、ブルックリンで親友とルームシェアで暮らしていたが、恋人とも別れ、ダンサーとしても壁に当たる。そのうえ、親友から同居を解消するという申し出もあり、主人公は自分の居場所を探すため、衝動的にパリに弾丸旅行を敢行する。とくにドラマティックな展開はないのだが、その淡々と主人公の彷徨を追う映像は、妙に心にフィットしてくる。マンブルコアが「自然主義」と言われるのも納得できる。タイトルの謎が解ける最後の場面が妙にストンと胸に落ちるのが快い。
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