小森の夏、ニッポンの夏。
小森の秋、ニッポンの秋。
いつの間にか海外で高く評価されている一作。
映像が本当に美しくて、この風景に多くの映画ファンが魅了されたのもうなずける。
そして主演の橋本愛さんが圧倒的に強い。当時まだ当然未成年だろうに、普通に20代半ばみたいな役を演じきっている。
撮影も器具を扱うのみならず、鴨の処理からイワナの運搬まで、本当に体を張って頑張っている。
だけど、橋本さんにはどうしても自身が持つ都会的な雰囲気が漂っていて、東北の山奥の集落でたくましく暮らす女性にはどう頑張っても見えない。
だが、というかむしろそこがいいのかもしれない。
儚げで実在しなさそうなその雰囲気だからこそ、彼女のたくましさにしつこさを感じることがなく観ていられる。
その非実在性を考えると、本作はもしかするとある種の「ファンタジー」とさえ言えるかもしれない。