あるぱか2世

ブラック・スワンのあるぱか2世のレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.8
【パーフェクトブラック、誕生】

日本的な猥雑さを含みに含んだ『パーフェクトブルー』から、そのアングラ感を拭い取り、代わりに「ステージ」というゴールを明快に設定した、いわばハリウッドならではのリメイクと言えそう。

この「ステージ」というゴールを設定したことによって、バレエに限らず、演劇や音楽といったステージをフィールドとする芸に関わる者すべてに、共感の種を播くことに成功している。

ナタリーポートマンの驚異的な演技はもちろん、考え抜かれたカメラワークも観ていて楽しい。
舞台裏の場面では、まるでドキュメンタリーのように地続きなカメラワークによって説得力と臨場感を与えてくる。
その一方で、時折繰り出される極端な主人公視点によって、彼女が抱える精神領域にわれわれを引きずりこもうとする。

なるほどこれは、ステージに立ったことがある人とそうでない人では、物語の刺さり方が圧倒的に異なりそうだ。

ただ残念ながら、私は「そうでない人」の側なのだけども…。
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