りえぞう

リスボンに誘われてのりえぞうのレビュー・感想・評価

リスボンに誘われて(2012年製作の映画)
3.6
死の存在が生の瞬間に美と恐怖を与え、時間を輝かせる
ならば死への恐怖とは自分がなろうとした人間になれないこと
完全な自分になれないという確信に襲われる時、残された時間をどう生きればいいかわからなくなる…

偶然手に入れたポルトガルの古文書。主人公が本の世界、著者アマデウの人生観と紡がれる言葉に惹かれ、スイスを飛び出して著者に会いにリスボンへとやってくる。

ポルトガルのカーネーション革命の時代に翻弄されながらも、自分の信念のままに生き抜いたレジスタンスの著者。ポルトガルは時間が止まったような国と言われるが、石畳と落ち着いた街並み、穏やかで何かを秘めた人達が登場する。

アマデウの家族や友人を訪ね、彼の人生に触れながら、激動の人生を送った著者と孤独で単調な生活を送る自分自身とを比べてしまう主人公だったが、日常の生活を一歩飛び出し、リスボンでの新たな出逢いが光に包まれるラストが良かった。

印象的な言葉の数々。
原作「リスボンへの夜行列車」も読んでみたい。
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