明石です

クジョーの明石ですのレビュー・感想・評価

クジョー(1983年製作の映画)
3.4
犬と家族の友情を描いたハッピーな感動作、、ではなく、狂犬病にかかった激おこ錯乱ドッグが人間を殺しまくるスナッフフィルム。ずっと見たかったスティーヴンキング原作のアニマルホラーを初鑑賞しました。

犬好きの家庭に飼われ、幸せな生活を送っていたセントバーナードのクジョー。しかしある日コウモリの群れに噛まれたことで狂犬病を発症。飼い主とその友人を食い殺し、しまいには人間を襲うことしか頭にない脳筋ゾンビドッグと化してしまう。そして中盤以降は車中に閉じ込められた母子vs犬というソリッドシチュエーションな展開に。大規模なパニック映画とは一線を画す作品ですが、それにしてもS・キングはシンプルながら恐ろしいテーマのホラー映画がお上手ですね。

ただし実際の狂犬病はこの映画ほどドラスティックではなく、感染した犬が見境なく人間を襲いまくることによる恐怖とは別次元のものだと思う。むしろこの病気が洒落にならないのは、病原体を持つ犬猫に体の一部を噛まれただけで感染する可能性があり、感染から発症してしまうと、数日間で確実に死に至るところ(致死率100%の感染症とか怖すぎません?)。

そして感染者は身体中が麻痺していき、最後は水も飲めずに脱水症状で亡くなるという、ゾンビ化を彷彿とさせる恐ろしい病気。いっそ映画みたいに、犬に食い殺された方が楽なんじゃないかと思えるほど悲惨な病です。仮にその狂犬病の発症→ベッドで苦しみ抜いて死亡といった、現実的ながら恐ろしすぎるシーンが作中で描かれてたらもっと怖かったかもしれない。犬に襲われる直接的な描写だけだと、他のアニマルホラーに比べてややパンチが弱い気がしたのは私だけじゃないはず。なにしろ襲ってくる狂犬は1匹だけだし笑。

しかし動物を題材にした映画を見ていて毎回思うことですが、よくこんなに躾けられますね。。ゾンビ犬さながらに人間を襲うようけしかけるなんて、どうやって調教してるんだろう。また本作は特殊効果もとっても秀逸で、クジョーの皮膚が日に日に爛れてく感じは、まさに狂犬病にかかった犬にしか見えなかった。

これは私ごとですが、一度東南アジアで動物に引っ掻かれて病院でワクチンを(5回も!)打たされたことがあるので、狂犬病というテーマは他人事には思えませんでした。とりあえず、日本が狂犬病洗浄国で良かったなと思える作品でした。この島国に居座りつづける限り、この映画の恐怖はあくまでおとぎ話ですから…
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