とうとう鬱三部作もラストまで辿り着いてしまった。
前後編の前半に当たる本作は、ただただジョーの語りを聞いている感覚。
性的な描写から愛を語るのはギャスパーノエのLOVEを連想する。
知識人のセリグマンを置く事で、高尚な事を語っている様に見せる手法はフォンを自称するトリアーの魅力の一つかもしれない。
0. プロローグ🛣️
色情狂の女性ジョーが道端に倒れているシーンから始まる。偶然通りかかった年配のセリグマンが見つけ、自室で介抱する。
そして、ジョーが半生をセリグマンに語る形式で物語は進んでいく。
ジョーを見つけるシーンでメタルがかかるのがトリアー見てる!って感じで良い。ラムシュタインのヒューレ・ミヒという曲らしい。
1. コンプリートアングラー🎣
ジョーの性の目覚め、Jとの初体験。そして友人のBとの列車を使った遊びが描かれる。セリグマンはその話を、趣味の釣りに例えながら聞く。
正反対の性格の二人の掛け合いは何だかアンジャッシュのコントみたいで面白い。
2. ジェローム🏍️
セリグマンが持ってきたルゲラーというユダヤのお菓子をきっかけに、初体験の相手ジェロームとの再会から別れまでが描かれる。
3. ミセスH👩
相変わらず複数の男と関係があったジョーは、軽い気持ちでついた嘘がきっかけで、既婚の男が妻と別れてしまう。それがきっかけで妻のHも家に押し入ってきてしまい、修羅場が展開される。
修羅場の中、冷めているジョーの佇まいがブラックコメディにしか見えなかった。
4. せん妄🏥
セリグマンが拾い読みしているポーの本をきっかけに、ジョーの父の入院から死までが描かれる。最後の股越しの父の死に顔のショットが印象的。
5. リトル・オルガン・スクール🎹
セリグマンが聞いていたバッハをきっかけに、3つのパートからなるポリフォニーに準えて、3人の男について語る。