ろく

ジゴロ・イン・ニューヨークのろくのレビュー・感想・評価

3.7
ニューヨークの街並みとしゃれた会話とジャズ(そういえばマンハッタン殺人ミステリーは「シング・シング・シング」だったような)と実にウッディ・アレンぽい映画じゃないかい!と思って見ていたが、監督はジョン・タトゥーロ。だまされた~。それはそうとストーリーはどこまでもオシャレなくせにふたを開けたらこれ「黄昏流星群」(©弘兼)ですから。残念(ギター侍風に)……って言いたいとこなんだけどね、そういえば俺好きなのよ、「黄昏流星群」。いや自分がそんな立場でないのだけど、自分みたいな中年も「未来」があるような作りをしていてもしや俺にも明るい未来があるのではないかい、そんな錯誤さえ抱かせてくれる。ないない。閑話休題。恋愛ものにユダヤという民族主義をまぜ最後は民族としてヴァネッサ・パラディはタトゥーロを振ってしまう。そこには僕らでは少し理解できないような「民族」の強さがそこにあるのかもしれないよ。「愛してないとは言ってないわ」そう言うヴァネッサの美しいこと!そしてその裏に流れているフレンチ・ポップスが急に終わるとこなんかトンデモなくエモいんだよねえ。ってこのやり口って日本だと神代辰巳が得意にしていた技じゃねえか。「悶絶!どんでん返し」なんかまさにそれだし。神代とウッディ・アレン。両者とも愛の永遠性を信じていない点では同じかもしれない。そして妙に飄々としているとこも。
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