Inagaquilala

ブレイン・ゲームのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ブレイン・ゲーム(2014年製作の映画)
4.0
内容に即して言えば、邦題はなんとも芸のない当たり前な感じのものになっているが、原題は「Solace」で、苦痛や悲しみをやわらげるという意味がある。この原題については、物語が進むにつれて、なるほどと納得するものなのだが、殺人事件にまつわる奇妙な謎を解くキーとなる。基本的には、連続殺人をめぐって、同様の予知能力を持つ老医師と容疑者が対峙していく話だ。監督は日本でも2017年に公開されたブラジル映画「トゥー・ラビッツ」(2012年)のアルフォンソ・ポヤート。同作品では、同じブラジル人監督であるフェルナンド・メイレレスの「シティ・オブ・ゴッド」を思わせるポップな仕上がりのクライムミステリーを演出しており、今回の作品でも、巧みな映像処理でサスベンスフルな作品をつくりあげている。

対決する2人の超能力者を演じるのは、老医師がアンソニー・ホプキンスで、それを上回る予知能力を持つ容疑者をコリン・ファレル。後半に展開される2人の対決は、なかなかスリリングで、観応えじゅうぶんだ。とくに、老医師が自分より能力が高い容疑者を前に、事件からの撤退を考えるところなどは、超能力者を題材にしながらも、なかなか人間くさい演出ともなっている。邦題は「頭脳戦」のようなものを意識してつけたのだろうが、その言葉で集約してしまうのは惜しい作品だ。「トゥー・ラビッツ」にもその出来に感心したが、ハリウッドに初進出したこの作品も期待に違わぬ力を見せている。アルフォンソ・ポヤート監督は今後も「買い」だ。
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