Donatello

6才のボクが、大人になるまで。のDonatelloのレビュー・感想・評価

4.0
例えばこういうものが撮りたいなと企画したとしても、なかなか難しい事があって、その中の一つがこの映画のような何年もの歳月をまたいで撮影する作品だと思うんですよ。

演じる役者も監督においても人間である以上、仮に本人がヤル気だとしても、予想外の事故やなにかで出演や演出が出来なくなる可能性もある訳で。

特殊メイクやCGの技術が発達した今、それがどれ程の意味を持つのか懐疑的でしたが、まぁここまでやったら凄いですわね。

『アイズ・ワイド・シャット』のギネス記録が破られていない事から鑑みるに、実撮影期間そのものはトータルでそれを超えていないかもしれませんが、準備やらなにやら含めたら確実にギネスものだと思いますよ。

主演のエラー・コルトレーン君はもちろん凄いし、なんだかんだとその間に10本以上の映画に出てたイーサン・ホークさんなんてもうなにがなんだか。
そこら辺りは『ビフォア』シリーズのリンクレイター監督との信頼関係で為せる事だったのでしょうが。

月日を費やして撮られたという点では星5ですよコレ。

ただね…。
12年という実際の年月の経過に拘った出オチ感がありましてね。
ドラマとしてプロットを考えると、ありきたりというか、自主制作のドラマにもありそうな雰囲気というか、「等身大」と言えば聞こえはいいけど、いまいち気持ちが入っていかない、行き当たりバッタリ感を感じまして。
鑑賞後に色々読んだら、脚本を書き進めながら撮ったらしいので、なんとなく腑に落ちたんですよ。それが。

例えば過去に戻る事が出来る男の、父と子の物語みたいな、某『アバウト・タイム』みたいな話をこういう長期で全部企画して撮影してたら、それこそ敬意を表して星7くらいつけますけどね。

折角の12年を生かしきれてないように思えるのが少々残念です。
12年凄いですけどね。
昨夜の晩飯をもう忘れてる僕が偉そうに言う事でもないですけどね。
Donatello

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