八咫

インポート、エクスポートの八咫のレビュー・感想・評価

インポート、エクスポート(2007年製作の映画)
3.3
『パラダイス』三部作のウルリヒ・ザイドル監督作品。で、期待したんだけど己の浅学さ故、『パラダイス』ほどの分かりやすい展開がなかったからかそこまでハマらなかったなあ。それでも長回しを冗長的とは思わせない工夫はさすがだった。なにより『パラダイス 神』のあのアンナおばさん主人公がウクライナからオーストリアに出稼ぎに来ている女性の働く病院に看護師として在籍しているのよ〜〜!彼女、この映画では終盤にウクライナ女性に嫉妬していきなり取っ組み合いになるし、『パラダイス 神』を先に観ていて中々彼女の背景を楽しめたという点で面白かった。やはり先の映画に言及しちゃう(それほど面白かった)けど、アンナはやっぱりやばい奴だよ。宗教心故にあんなに狂気的なのかと思ってたけど、普通に最初からやばいじゃん(笑)これぞ人間だわ。
正直オーストリアの父子パートはよく分からなかった……。貧困(?)から抜け出したい息子だけど義理の父親に頼らざるを得なくて、しかしそこから抜け出したい、ってとこかしら?
ウクライナ女性が本国では看護師として働けていたのに給与の未払いのせいでオーストリアに出稼ぎせざるを得ず、清掃業務に職を見つけたけど元看護師の資格を無碍にされるのにはつらいものがあったなあ。いくら能力があってもそれを活かせない国の体制は、生まれる場所を選べないことを思い起こさせ自分の現実に感謝しなければなんて殊勝なことまで思ってしまう。



脚本 3.4
美術 3.2
演技 3.5
演出 3.4
チープ感のなさ 3.6
満足度 3.2
その他(音楽、カメラワーク)
八咫

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