小波norisuke

複製された男の小波norisukeのレビュー・感想・評価

複製された男(2013年製作の映画)
5.0
「灼熱の魂」、「プリズナーズ」に続いて、ヴィルヌーブ監督作品の鑑賞は3作目。

「灼熱の魂」では、1+1=1という、戦慄させられる数式が登場し、いきなり「主の祈り」で始まった「プリズナーズ」では、蛇と迷路が象徴的に現れ、看守と囚人が交錯した。

「カオスとは未解読の秩序である」という、意味深な言葉で始まる本作も、象徴的な事物が散りばめられた、まさに蜘蛛の巣に絡めとられたような、カオスの中に放り込まれる。

高層ビルが林立する大都会
母親からの電話
怪しげな会員制クラブ
ピンヒールで踏みつけられる蜘蛛
繰り返される「独裁者」についての解説
無機質な部屋
妊婦
双子のような円形の高層ビル
ブルーベリー
ガラス張りのオフィス
物憂げな歴史教員と
身重の妻がありながら性的刺激を求める俳優

どうだ、好きに解釈してみろ、と言わんばかりの、観客を突き放すようなラストに、ヤラレタと思わされる感覚が小気味よい。

深読みを誘う、勿体ぶったような描写が苦手な方もおられると思うけど、私は、もうやみつき。

それにしても、サラ・ガドン、美しい。

そして、蜘蛛。ママン。しばらく六本木ヒルズに行くのが怖い。。。。

原作は、図書館で順番待ち。改行が極端に少なくて読みづらいらしいので、読了できるかどうか自信がない。。。
小波norisuke

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