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複製された男のmoryのネタバレレビュー・内容・結末

複製された男(2013年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

姿形、後天的にできたはずの傷でさえも一緒の大学講師アダムとあまり知られていない役者アンソニー(ジェイク・ギレンホール一人二役)が出会うことで開いてしまった開けてはいけなかった箱の話。
 
不条理系作品好きなのですけれど、なんというか、本作どうもわたしには世界観が散らかっている感じがして、物語性を汲み取れませんでした。感想を書くまで少し寝かせてみたけれどまとまらないので、以下に咀嚼できないでいることを箇条書きします。

・冒頭カオスと支配がテーマであると感じさせるのに、その2つが特に感じられない

 カオスとは無秩序のことであり、力学系では単純な相互作用系から初期値が異なることで予測不可能な振る舞いが生まれることを指します。この話におけるカオスとはなんだったのだろう。いるはずのない人間が存在することがカオスだったのだろうか。
 また、支配構造もよく分からなかった。ありえるとしたら性による支配かもしれないが、「勉強や情報の機会を減らし被支配者を支配しやすくする、この構造は繰り返し現れる」とわざわざ2回も繰り返したモチーフ的台詞と合わない。
 
・アダムとアンソニーは同一人物だったのか

 アダムとアンソニーの2人が本当に同じ姿形をしていることが描かれるのは密室空間であったこと、また、アダムが母にアンソニーの件を相談する際に「三流役者のことなど話すな」と役者であることを語る前に言い放つため、途中から彼らは同一人物では?と疑ったのですが、アンソニーが事故死した後アダムが登場したのでそうでは無いのでしょうか。
 もしくは、メアリーの存在も架空で、メアリーとアンソニーの事故は実際には起こっていないのでしょうか。もしくはヘレンの方が架空ということもある?その場合はアダムかアンソニー(もしくはその両者)の精神世界(妄想)を見ていたことになりますかね。
 
・蜘蛛はなんのメタファーだったのか

 繰り返し蜘蛛と女性がセットになるのでそこになんらかの関係性を描いているのは分かるのですが、それが何なのかよく汲み取れませんでした。性、夫婦関係、家庭に絡め取られることでしょうか。冒頭で女性が蜘蛛を踏み潰す一方、最後ヘレンは蜘蛛になってしまった。蜘蛛は女性であり、女性ではない。
 女性が妊娠する前は蜘蛛を踏み潰してくれる存在であり、妊娠した後は蜘蛛になる。うーん、母親のメタファーくらいしか思いつかないのですが、それならアダムと母親との関係性がもっと描かれていたように思います。
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