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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のmoryのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

現代教養として。いやもうびっくりしました。フロドが指輪を捨てて大団円ハッピーエンドで終わるとばかり思っていたので、まさかフロドが指輪に囚われて、スメアゴル君が指輪と共にその生を終える(うわーーーん!!!)とは思いませんでした。
 
この展開には色々考えさせられてしまって、たぶん原作を読まないと原作者の真の意図に辿り着けないと思うのですが、暗喩的に産業革命に乗り出した人間たちの引き返せない道を描いているのではないかと感じました。サルマンによる森の破壊はまんま産業革命と重なり、この物語は科学技術による自然共生の侵略を描いていたと感じています。その象徴が指輪であり、自然と最も共生していたホビットですら指輪を捨てることができなかったことに、私たちの引き返せない生き方が描かれているようです。
 
あと、スメアゴルとフロドは、どちらが同じ立場になったとしてもおかしくなかった表裏の存在だと感じました。スメアゴルは運悪く友達を殺してしまったことで指輪に魅入られ死に至りましたが、フロドは友達(サムーーー!!!)に救われたことで指輪に魅入られながら生きながらえることができた。
 
フロドは指輪と闘いながらも成長することはなく、ずっと巻き込まれ続けただけの存在だったことも興味深いです。フロドは冒険に出ることを望んでいたけれど、これはフロドの背負うべき物語でも、フロドのための物語でも無かった。最後に旅に出たフロドが自分のためだけの物語を綴ることができることを願います。
 
サムが全編漢前すぎて泣いた。幸せに暮らしてくれ…!!!
 
全体的な感想。正直、賞レースを席巻した作品の中では、良さのよくわからない作品だった。原作を知らないからというのと、欧米の共有するファンタジーイメージが自分には欠けているからなのかな、と思う。ホビットも観ます。
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