ブタブタ

複製された男のブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

複製された男(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

カフカの作品『変身』始め『審判』『城』などこれらは「夢オチ」ではなく世界そのものが「夢(悪夢)」を小説(お話し)として再構築したと言う解釈や評論があって、自分も見てる(読んでる)時はリアルに感じていても後で考えるとおかしな部分や矛盾が沢山あり、その不条理さや超現実的な世界は「夢」だと言えばなんでもありで、最後に全ての謎が解けたり神でも悪魔でも宇宙人でも何でもいいですが何らかの原因・要因が明らかになる様な物語とは全く別種のもので、そういった事を端から放棄している。
「真理」みたいなモノがこの世界には無い、ゆえに何でも可能であり同時に何も無い「虚無」の世界。
みたいなものかなと思います。

一言でいえばカフカ的な映画でした。
『変身』を逆廻しにしたみたいな。
変身したのは主人公でなく奥さんでしたが。

「出会ったら死ぬ」と言われるドッペルゲンガー。
或いは自分のクローンが己の意思を持ち勝手に行動を始める。
自分ソックリで非なる存在とは恐怖でしょうし、スターウォーズの「クローン戦争」とは本当ならこの作品みたいなクローン人間の恐怖を描くべきだった。(と、しつこく言い続ける)

『ブレードランナー2049』の監督であるドゥニ・ヴェルヌーブ監督作品を最近見てるのですが正直『複製された男』はあんまり面白くなさそうだな~とネタバレ全て読んでしまった後の鑑賞だったのですが返ってそれが幸をそうしたのか凄く面白かったです。

『ファイトクラブ』と比較してる方もいました。
アダムとアンソニー(ジェイク・ギレンホール/2役)の関係はちょうどファイトクラブのナレーター(主人公)とタイラーダーデンとほぼ同じで普段抑え込まれた欲求が別の人間として現れたもの???

ハッキリと「ネタバレ」として提示されてる真相は正直つまらないな~と言う感想なんですが、色んな方の感想の中で「宇宙人侵略パターン」が個人的には1番面白くてそう思って鑑賞してました。

都市を見下ろす巨大な蜘蛛は普段はステルスで見えない宇宙人の侵略メカ。
冒頭の秘密倶楽部はクモ宇宙人達の会合。
アダムとアンソニーはクモ宇宙人が間違って一人の人間を2匹のクモ宇宙人が擬態してしまった、或いは人間を殺してから擬態する筈が殺すのを忘れた為に発生した「バグ」

『SFボディスナッチゃー』や『ゼイリブ』等の人間乗っ取り侵略モノとして見た方が面白かったです。

淡く柔らかいイエローグリーンがかかった映像は現代劇なのに60~70年代の近過去の世界・風景に見えて異世界感を醸し出してました。
この映像の感じは『ゾディアック』に似てるなと思ったのですが、冒頭の地下秘密倶楽部及びアダムとアンソニー
は『ファイトクラブ』で最後のキャスト・スタッフの字幕、都市にアルファベットが浮かんでるのは『パニックルーム』みたいで何かデビッド・フィンチャー監督へのオマージュなのかな?とも思いました。
ブタブタ

ブタブタ