[瑞々しすぎて心が痛い] 99点(OoC)
MUBIにあったものの、リスニング能力低めなので放置していたが、Netflixにあがったので鑑賞。ミッチェル監督の初監督作品らしい。信じがたい。
アメリカの高校の話といえば、スクールカースト、セックス、ドラッグだろう。どんな学園ものでも必ずドラッグをやってるやつがいて、クォーターバックとチアリーダーが付き合っていて、オタクがいじめられている。それがアメリカンな日常なんだろうけど、日本からは距離がある。感情移入は出来るけど、心の距離はある。従来のアメリカン高校生映画とはそんな感じだろう。
だが、本作品は違う。スクールカーストもセックスもドラッグもないのだ(ドラッグはちょっとだけ出てくるけど本筋には関係ない)。高校に入る前の、新しい学年になる前の、漠然とした不安や期待を胸に、ちょっと背伸びしている感じなんかが瑞々しい。
作中、ある人物が主人公格の少女にこんな言葉を掛ける。”子供の日常は素晴らしいんだけど、大人の真似事をしているうちに、家の床でパズルをしていたことを忘れてしまう”。これは、背伸びをしていたあの頃を過ごした全ての人々に送るミッチェル監督の人間賛歌なのだ。