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赤線玉の井 ぬけられますのryosukeのレビュー・感想・評価

赤線玉の井 ぬけられます(1974年製作の映画)
3.7
長回しでダラダラと赤線の日常を捉えていると、唐突にハッとするほど美しい機関車が差し込まれる。編集の威力。
盛り上がらない濡れ場、「好きかい」がキモい夫、トイレで「東京に戻ってもうまくいくかしら」と嘆く芹明香。このシーンは相当生々しくて良い。
襲われかけると海に逃げこむのも素敵。「赫い髪の女」「アフリカの光」もそうだったけど、神代は海好きだな。
トーキーなのになぜか差し込まれる中間字幕や漫画は別にいらないかな。
登場人物の歌が画面外から重なってくる神代節が味わえるのだが、突然君が代が挿入される外連味にはちょっと驚く。
謎の男根崇拝、小屋の上でのダイナミック自殺未遂等のヘンテコアイデアも嬉しい。
「だってさっきお雑煮食べたばっかりなんだもの」ってなんか知らんけど良いセリフな気がする。そんなことないか?
蟹江敬三演じる最低男の所持するヒロポンのアンプルを、宮下順子がストッキングしか履いていない足で踏み潰して血まみれになるシーンの情念がエグ過ぎた。
ラストも直子の偉業を讃えるかのように再び君が代が流れ、無理矢理でも海へとイメージの連想が飛んで終幕。いやはや凄いな。
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