赤線玉の井 ぬけられますの作品情報・感想・評価

「赤線玉の井 ぬけられます」に投稿された感想・評価

eiganoTOKO

eiganoTOKOの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

昭和30年
玉の井に実際にあった「ぬけられます」の看板の私娼窟のひとつ、小川のそばにある小福屋で働く娼婦たちの日々。
当時から女学生が定期を買うとき最寄駅を避けるため、一つ先の駅まで買ったというくらい暗いイメージがあった。
でもこの映画は陰惨さはない、ひょうひょうとした人間ドラマだった。

キャリアウーマンなおちゃん
金のためじゃない居場所系既婚者きみちゃん
ダメんずうぉーかーしまちゃん
3人を中心に赤線地帯で働くいろんな娼婦の物語。なんか、ちゃんづけしたくなるのよね、この人たち。
最初は悲惨さを強調した売春は可哀想的な上から目線映画かと思ったけど、違った笑
キャラ立ちしてるから、なんとなく会いたくなっちゃう。
楽しいことも、大変なことも、そりゃああるよねって自然と思える。

一番いいなって思ったのは滝田ゆうの挿絵で「我々に売春の権利を与えよ」という東京都女子従業員組合の演説カット。
このカットイン素晴らしい〜。労働運動ってさ、美しいのよ。和製ノーマレイやりたい。

蟹江敬三の役がムカつくう〜ヒロポン、博打、女を殴るなクズ〜!ダメんずめ〜!ばーかばーか!
こうゆう人を好きになるのも自由だけど相談されたら「別れな」って言うかな…。ヒロポン裸足で踏むシーンが切なすぎるよ…。どんな性癖でも否定はしませんけど、足の裏からヒロポン吸収しないように気をつけなね…!

なおちゃん割と好き。記録作るど〜!ってバリキャリ。
感じないの?って客に聞かれて「だって今お雑煮を食べてきたばかりよ」とあくまでもマイペース。記録のために、おっぱい以外は触らせない。疲れちゃうから笑
「そりゃ女ですもの」と言って本番は感じる、というのは間違った知識なのでどうかと思いますけども。
「冷えたツボより熱いツボ」ってのもほんまかいな(笑)って感じなんだけど、その方が客がすぐイクから効率いいって聞いて火鉢でヴァギナあっためる努力がなんかほっこりした笑 アチっとか言って。
そんで客に「あついなあ、あつっあつっ」とか言われて「もえてんのよぉう」って笑

結婚して、朝ご飯炊くような旦那が可愛がってくれるんだけど(ヘタクソって男女問わず言うのはどうかと思うけどお願いしてもダメってのはどうしようもないね)お店はやっぱいいなぁと戻ってくる公子。今見ると新鮮。結婚=幸せ、風俗=不幸を反転させてる試み。

品川に流れる自殺未遂が日課の繁子は自転車パクってサヨナラも告げずに去るんだけど、悲惨さがあまりない。

でかいチン子像をなでながら「客の鈴なり〜」ってとこ、絵面が魔女っぽい。熊手や招き猫じゃないとこがツボ笑
でもこのカットは重要で、これがある事で労働であることが強調される。

あと自殺ごっこのシーン面白い。死と生の対比がくっきり。しげちゃんユニーク。

最初皇太子と美智子さんのテニス写真がセックスシーンに挟み込まれる。君が代のBGMは反国家のような表現なのかな?
お客の口笛、営業終了で君が代流れて、もう神ではない人になった天皇と、人のくせして税金で暮らしてる天皇との対比?
よくわからないけど、天皇家に詳しい追っかけが、皇太子にAVを届ける役がいると言ってたのを思い出した。あの人たちって神の扱いがまだ終わってない気がして、性的なにおいがない。無臭。でも性欲がない属性じゃない限りセックスしますよね?それでもきっとお世継ぎのためと多くの「国民」が願望してる。特に馬鹿右翼。雅子さんが子供産まれなかったとき、めちゃくちゃ叩かれてたもん。キモッ。
生産性とは無関係の仕事のセックスもあるんですよね。生産性と非生産の対比。

ただし疑問点もいくつか。
日活ロマンポルノがある意味女のたくましさを描いていると聞いたことはあったものの、単純に娼婦はたくましいだけでは価値を高めているだけで平等からは遠ざかってしまうので、どうなんだろうという疑問は残る。たくましさを狂気のように描くのがその証左。男から「女の人の方が強い」と言われても、パリッと格好良く働く男像の世界には決して入れない。ネット上でクソ客の悪口書いてるかっこいい風俗嬢が、膣ドカタを名乗ってたのだけど、体力仕事として描けば良くない?
さらに言えば、おそらく未成年のはつもの喪失シーンはかなり辛い。「辛いねえ」と泣くママ。現実だからと未成年をわざわざ描くなら、社会問題の題材としてほしいし、ポルノ的描写ならなおNG。
働く自立した女を描くとき、未成年を素材として利用するのはヤメろって思うね。この辺は残念、というか時代だな。もう終わりにしてね。

どうでもいい話だけど、お客として出てくる前野霜一郎という俳優がほぼヤクザの大物右翼児玉誉士夫邸につっこむテロ起こして死んじゃってた。
テロはダメだけど、児玉誉士夫は悪の元凶岸信介のフィクサーだったので、ちょっと思うのはこの時児玉は死んでて欲しかったな…。
だって超愛国の行き着く先は排外主義だし、兵器やヘロイン売って金持ちなうえ、岸の汚職をもみ消そうとし、税金ふんだくる政権を今まで作り上げてきたうんこだもん。
神代でしたね。赤線で働く女性を活き活きと描きます。芹明香が結婚した相手と相性が良くなくて娼館に戻ってきちゃって楽しんじゃうとことかいかにもという感じでよかったです。ところどころで出てくる滝田ゆうの挿絵もよかった。あそこを火鉢で温めて次に挑むのもええっすな。
tarouman

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3.0
神保町シアター
詩情漂う気怠い映像美。階段の上下を上手に使ったリズミカルなショット。
主演は宮下順子かもしれないが、オムニバス調の筋立てで他の女優陣もそれぞれ目を引く。
個人的には海のように広大な中島葵の哀しみにグッと来たが、まあやはり結局は芹明香ねえさんの魔性のエロ目線がすべて持ってちゃいます。脱帽。
takandro

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4.2
あっつい!あっつい!ってなおちゃん最高。首吊りの度にギャー!って。宮下順子と蟹江敬三の絡み。芹が結局戻ってくる感じも…
自転車夕陽バックはどう転んでも絵になる
大野

大野の感想・評価

3.5
「ぬけられます」の先には細い小川が流れている。それを風景ショットとしてではなく、人物描写のために使う。
peco

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3.9
何となく楽しかったような気持ちになるのが不思議。公子(芹明香)や他の人たちの雰囲気がホワッと印象に残る感じ。

挟み込まれる滝田ゆうの漫画の吹き出しのじょうろとかに意味があるらしいけど、ボンヤリ見てしまったのが残念。

昔の邦画って、ほとんど観たことがないので何も分からないけど、多分すごく鋭い視点と独特の表現方法があるんだろうな。
首吊りというルーティーンをする行為と身体を売る(本来なら命をうむ)行為が一緒の映画に起きる。
菩薩

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4.2
「ぬけられます」の看板くぐれば、男にはちょっとやそっとじゃ抜けられない、抜かれ天国の迷宮が待っている。女達は別に抜けようと思えば抜けられるのだろうが、私ゃ抜けません!抜くのです!と逞しく火鉢に跨り闘志と共に股の毛を燃やす。稼いだ銭を全てヤクザな博打打ちに貢ぐ者もあれば、一度は抜けたその道に舞い戻りココが私の居場所であると、男の上で高らかに絶頂を叫ぶ者もいる。赤線の「死」を目前とした「生」なる一日、そして今日に至るまでの2年とそこそこの日々。あんたにカタギの女がいても良い、けれどもヒロポンだけはやめてくれと、アンプルを踏み潰した足の裏はギタギタに裂ける。きっとかつての売れっ子は、もうそろそろ鞍替えしたらどうだいと肩を叩かれ、更に場末の品川へ店前のチャリを失敬して漕ぎ出して行く。玉の井、市井の人々の、暮らしの中の性、細く汚いドブ川には、大きく醜いネズミが這う。ちょっと兄さん寄ってきな、遊んでいきなよ旦那さん、吉行淳之介を魅了し、永井荷風を虜にしたその小さな部屋は、今日も女の匂いで満ちている。
売春防止法前の時代の娼婦を描いた群像劇。苦手な70年代の作品で、しかもカラミの場面ばっかりで、これは失敗したか?と思ったけど、見ているうちに娼婦たちが愛おしくなる。もうちょっと長くてもよかった。
夜の女性を描いた作品って多いし、名画座でもよくやるのは、そういう女性が愛おしいと思う人が多いからかな、などと思った。

「女たちの街 『色』と『花』に彩られた文芸映画の世界」@神保町シアター
SHU

SHUの感想・評価

3.3
コトの前にはお雑煮を食べてはいけません。

隣のおじさんに上映前に話しかけられたのがしつこくても、終了後にスッと帰られると寂しいという不思議。