<概説>
出所早々銀行強盗に手を染めた男は、仲間の裏切りによって官憲や元仲間から再度追われる身に。挙句妻の不倫疑惑まで発覚し、自由を求めた男の逃避行には暗雲が立ち込めていく。
<感想>
金!犯罪!男と女!逃避行!
このテーマを料理するのはすごく難しいなと、監督の色がなかなか出ないもどかしさから実感しました。暴力映画の代名詞サム・ペキンパー作品が暴力から逃げるとは。
いえ逃避行で暴力を避けるのは普通は普通なんです。
暴力=敵との接見=破滅の予見ですから。
そんな何度もバカスカと銃撃戦するのはリアリティに欠けますし、何よりワンパターン。なのになぜそんな暴力劇が欲しくなるのか。その答えはただひとつ。
5年前公開の伝説的作品『Bonnie and Clyde』。
これがすべての元凶です。なまじ逃避行の名作なだけに、ついつい比較対象として持ち出さざるを得ない。
今覚えばあの作品は本当にすごかった。
逃避行なのに爽快!
逃避行なのに全力疾走!
逃避行なのに痛快娯楽映画!
結局逃避行は逃避行ではありますけれど、その前にロードムービーでもあるのですよね。どうあっても後ろめたさ以外のものを求めてしまう。
その点から言えば本作の一番の見所は、銃撃戦よりもあのゴミ捨て場の一幕だったのかも。