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屋根裏の散歩者のmasaのレビュー・感想・評価

屋根裏の散歩者(1992年製作の映画)
3.6
このエロい乱歩の作品は何本か映画化されているが、この実相寺監督、三上博史主演のやつがずっと観たかった。

江戸川乱歩の持つ独特の世界を更に耽美的、幻想的に描いていて素晴らしい。

大正時代の東京の下宿屋に住んでいる三上博史はある日、押し入れの天井の板が外れることに気づき、そこから屋根裏に上がってみると天井の節穴から各部屋の様子を盗み見ることができた。
人生に退屈を感じていた三上はそれから頻繁に屋根裏に登っては各部屋を覗き見るようになる。
要はやっていることは変態だが(笑)、文学的な雰囲気にさせてしまうのが凄い。だから、エロくても堂々と観れるのだ。

各部屋の住人たちは表の顔とまったく違う生活を送っている。弁護士の寺田農は愛人の裸体を縛り、それを写生していたり、小説家の女は複数の男と関係を持ち、女中は住民たちの金を盗み住民の一人とレズの関係だったり、いつも偉そうに自慢している医者は毎晩だらしなく大口を開けて眠っていたりと、見ていて飽きない。そして三上博史の目が輝きだしとうとう一線を越えてしまう…

明智小五郎は嶋田久作が演じているのだが、名探偵とは言えない風貌でどこか退廃的なムードを漂わせているのがまたいい。
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