rage30

ハミングバードのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ハミングバード(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ホームレスになった逃亡兵の再起を描いた作品。

ステイサム映画は結構見ている方だと思うのですが、本作は彼のフィルモグラフィーの中でも、一番と言っていいくらい陰鬱なトーンの作品で驚かされました。
なにせ、初っ端からステイサムが中途半端に髪を伸ばした…落ち武者状態で登場しますからね。
こんなにも無残に落ちぶれたステイサムを見るのは、初めてな気がします。

そこから、金持ちの家に転がり込んで再起を図るわけですが、アッと言う間にチャイニーズマフィアの用心棒になるのには、思わず失笑。
まぁ、ジャンル映画なのでテンポを重視するのは良いのですが、こんなにも簡単に人生を立て直せるなら、もっと早くに立て直せよ!という気もしたかな。

普段のステイサム映画なら、ここからアクションが増えていくと思うのですが、本作はむしろアクション描写は控え目で。
それよりも、シスターとの恋愛が描かれていきます。

このシスターのちょっと漫画チックなキャラクターが面白かったし、実は彼女も心に傷を抱えている事が明らかになると。
お互いに傷を抱えた者同士が理解し、癒し合う展開は、グッと来るものがありましたね。
ラスト、ステイサムが自らの罪を告白する件は、キリスト教における告解をしている様にも見えたし、彼の今後がどうあれ、前向きに生きていく事を予感させます。

ステイサム映画という事で、アクションを期待すると肩透かしを食らうでしょうが、その分、ヒューマンドラマとしての見応えはあって。
バーベキューの火花やトンネルなど、気の利いた演出に感心させられる部分もあったし、社会の片隅で生きる男女の切ないラブストーリーとしても見れるしで、個人的にはお気に入りの作品となりました。

人によって、駄作という人もいれば、傑作という人もいて、ステイサム映画に何を求めているかで、大きく評価の分かれる作品なのでしょう。
そういう意味では、普段ステイサム映画を避けている人にこそ、見て欲しい作品かなと思います。
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