すずき

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のすずきのレビュー・感想・評価

4.4
時は第二次世界大戦。
ナチスドイツはヨーロッパ戦線を有利に進め、快進撃を続けていた。
彼らの強さの要因の一つ、それが絶対解読不可の暗号「エニグマ」。
これは、エニグマに挑み、そして歴史の闇に葬られた天才、アラン・チューリングを描いた物語である…

連合国を勝利に導いた、陰の立役者を描いた伝記映画。
チューリングは傲岸不遜で偏屈でアスペルガーな天才。
彼が仲間とぶつかりながらも、困難な目的に立ち向かうのは、スポ根みたいで面白かった!
校長に「成果を出せないから退学だ!」と言われるくだり、歪みあってた奴が助け舟を出す所とかフツーに熱いシーンよね。
ヒロインのジョーンも、マネージャー枠じゃなくて、暗号解読チームの秘密兵器で、主人公をも超える天才性を見せ、八面六臂の活躍。
作品のテーマを考えると、彼女はもう1人の主人公よね。

エニグマを攻略する所は盛り上がりは最高潮に達するけど、その後さらに一波乱二波乱ある展開が続く。
攻略した喜びの時間は短く、彼らはパズルを解いてしまった事で、辛い選択をしなければならない…ままならねぇ。
そこで少年時代の過去と、1950年の劇中の現代へと伏線が一本に繋がる。
その時系列シャッフルの伏線回収の語り口が上手くて、ミステリーの謎解きを見ているようだった。

彼のストーリー、「ビューティフル・マインド」のジョン・ナッシュと被る。
彼も軍で暗号解読する描写あったよね…。

鑑賞後、Wikipediaでチューリングの事を調べた。
映画本編では詳しくは描かれないけど、彼の最期を暗喩するアイテムもあちこちに登場してるのね。
彼の功績及びエニグマ暗号機の解読を発表せず、隠し続けた理由も、現実は映画で描かれたより更にエグい。ブリカスらしさ全開!流石やわ(白目)