かすとり体力

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のかすとり体力のレビュー・感想・評価

3.8
第二次世界大戦中に独軍が使用した暗号『エニグマ』を解読したアラン・チューリングのお話ということで、暗号の解読プロセスをスリリングに描いたサスペンス映画かと思っていたら、いやはや、それ以上の多様なテーマを含みこんだ良き作品だった。

まず暗号解読の部分について。
私、サイモン・シン氏が古来から現代までの暗号発明とその解読のイタチごっこの歴史を描いた『暗号解読』(超絶面白いからおすすめ)を読んでいたので、エニグマに関するざっくりした知識はあったが、やはり文字で読むのと映像で見るでは理解度が全っ然異なり、この部分だけで非常に楽しめた。

ただ上述の通り、本作はこれだけじゃない。

アラン・チューリングの伝記としてもしっかり作られていて、彼の来し方と行く末まで、彼の恋愛観や諸々の苦悩といった彼の内面描写も丁寧に織り込みながら、卒なく描き出している印象。

またもう一点、本作、暗号解読を成し遂げてからの展開が非常にエグい。

彼にのしかかる精神的な重圧は想像するだに恐ろしく、そういった意味では、戦禍そのものを描いているわけではないが、こういったあり得ない状況を現出させる戦争という行為の恐ろしさ、得体の知れなさについて、通常とは違う角度から光を当てているようなところもあるように感じた。

と、色々述べましたが、鑑賞後すぐの感想は「あ~面白かった!」。

敷居は低く間口は広いような作品なので、誰にでもお勧めできる作品かと思う。
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