とし

バンクーバーの朝日のとしのレビュー・感想・評価

バンクーバーの朝日(2014年製作の映画)
3.6
1900年代初頭、不況の日本から仕事を求めてカナダに移り住んだ日系人の、実在した野球チーム「バンクーバー朝日」を題材に描いた作品。

日系人への差別は酷く、カナダ人の倍働いてようやく給料がトントン、入れる店も制限され、ジャップと呼んで蔑まれ、野球をやっても打席に入れば明らかなボール球をストライクと言われる。
もちろん日本人に友好的なカナダ人もいなかったわけではないようだが、世の中の流れとしてその色が強かった。
日系人たちもカナダ人とうまくやっていこうとする人もいれば一向に英語を覚えようともしない頑固者もいた。

カナダ人に比べて小柄で、審判の公平性も欠く中で見つけたのが頭脳プレイ。
万年リーグ最下位の彼らがみるみる勝ち進んでいく様がよかった。

劇中に描かれるのがバント作戦だけだったんだけど、さすがに試合が進めば通用しなくなると思うのだが。相手だって前身守備に変えてくるだろうし。
だから実際にはバンド以外の作戦もあったのだろう。それが描かれていないのは、製作陣が野球に詳しくなくて、描けなかったからなのかなとか考えてしまったりする。
新聞記事には「連続バント」だけではなく「頭脳プレイ」とも書かれてはいるしね。
出演陣には詳しい人いそうだけどね(笑)

小柄で非力なバンクーバー朝日ナインがどうやって勝ち進んだのか、もう少し詳細に描いてくれたら本当はもっとよかった。

勝とうが負けようが、過酷な労働を強いられていた日系人たちにとって、バンクーバー朝日が頑張る姿は何よりの楽しみだったに違いない。

23-54
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