ざわゾンビ

仁義なき戦い 代理戦争のざわゾンビのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)
4.2
シリーズ3作目

今作では広能昌三最大のライバル、武田明(小林旭)が登場する。

画面から滲み出るパッションとエナジーは恐らくシリーズでも最大級。
個人的には外伝的な広島死闘編が大のお気に入りではあるものの、完成度ではこちらに軍配があがる。
県外の組による関わりで代理戦争がはじまり、いよいよ泥沼の様相を呈する広島。

ヘタレ槙原(田中邦衛)の台頭、山守(金子信雄)の暗躍、そして、ルックスから声色までシブすぎる武田が大活躍。
広能すら喰われそうな勢い。
加藤武は市川崑の金田一耕助シリーズで粉薬を吹き散らす等々力刑事の印象が強く残っていたが、本作より打本という処世術とハリボテのプライドだけが取り柄の組長を演じている。小物感がスゴく、いいキャラクター。

抗争続きの本作において、ハイライトはやはりラスト。
若い命が散って行く悲惨の現実を前に、怒りや失望といった負の感情を抱え、まだ熱い遺骨を握りしめる広能。
彼の性分が、そして、そこから産み出される唯一無二の魅力が光る、ヒジョーにニクいシーン。

仁義なき戦いが単なる実録ヤクザモノに終わらず、カテゴリを超えたひとつの作品として語り継がれる理由がよく分かる。