本人は完璧と思い込んでいる超杜撰な犯行。
美学や過程をすっ飛ばして、ついでに手に持ったナイフも被害者を押し倒す時に放り投げて…ただの挙動不審なおっちょこちょいやんけ、と。
でも彼が普通じゃないのは最後に人の命を奪えてしまう事。
守るべきとされる社会規範の、一番大事なものさえ放り出してしまえる事への怖さといったら。それも、なんの躊躇もなく、己が快楽の為に。
そんな彼の心理を反映したかのように、不安定に揺れ、時に散漫で、時に静寂なカメラワーク。
セリフも少なく、登場人物の名前すら朧げ。
でも、強烈に惹きつけられる、映画としてのパワーがそこらに撒き散らされてます。
スバラシーです。