ドント

ルック・オブ・サイレンスのドントのレビュー・感想・評価

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)
4.1
2014年。インドネシアの大虐殺の“加害者”が殺しの様子を嬉々として語り再現する「アクト・オブ・キリング」の続編にして裏バージョン。兄を殺された眼鏡屋の男性・アディが虐殺者たちの映像を観、話を聞きに行く。
革新的すぎるアクト~よりもまっとうなドキュメンタリーで、それゆえキツく胃がギリギリと絞られる。一様に出てくる言葉が「政治の話はしたくない」「過去は過去だ、蒸し返すな」。全く正論なのだが、正論ゆえに恐ろしい。被害者は黙って忘れればよいのか。そんなことはないだろう。しかしこれは確かに触れるには危険な事実でもある。
歴史になりかかっている出来事を現代に引き戻そうとする様が被害者/加害者の心に波風を立て続けるこの世の地獄。人々の顔に人類の愚行と苦悩と哀しみのすべてがある。
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