ちろる

ヴェルサイユの宮廷庭師のちろるのレビュー・感想・評価

ヴェルサイユの宮廷庭師(2014年製作の映画)
3.6
美しく、気品溢れる出で立ちながらも泥だらけになりなが一心不乱に庭づくりをする。
品行方正で優しくて、芯がある。
そんなサビーヌの役にケイト ウィンスレットはぴったりだった。

美しい庭園というと真っ先に思い浮かぶのはイギリスなのだが、この作品では豪華絢爛なフランスのベルサイユの美と文化をイギリス人俳優たちによって演じているのが面白い。

私はヴェルサイユ宮殿に足を踏み入れたことがないので、この作品に登場する「ロカイユの木立」のことは初めて知った。
このサビーヌは架空の人物らしいのだが、庭園監督であるル ノートルと、サビーヌの密やかな愛の交わりと、2人がそれぞれで作り出す庭園の芸術の「調和」を並行して表現しているのが実に上品でヨーロッパ的。

作品全体としてものすごく面白いと言うわけではないが、所々のエピソードが
妻を失い、1人きりで庭園に座り込むルイ14世と心を通わせるサビーヌや、後ろ盾のないサビーヌが舞踏会で好奇の目で見られるシーンなどなど、心をほっこりさせてくれて柔らかい気持ちになるのは、ケイトの持つ人の良い雰囲気のおかげなのかも。

庭園という芸術を通して、ヨーロッパ的優雅な感性を堪能できてとにかく贅沢な気分にさせられる作品だった。
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